コースタイム

     8月6日(月曜日) 四日目 行程表

時間 標高 地 点 内    容
3:35 2761 塩見小屋 出発
4:25 3046 塩見西峰 まだ辺りは薄暗い
4:45
4:50 3052 塩見東峰 日の出直前に下山を開始してしまった・・・ 日の出は5:01頃だったか
4:58
6:48 2864 蝙蝠岳 朝食
7:10
8:18 2598 徳衛門岳 この付近に熊が出没するという
8:35
10:20 中部電力管理棟 上流ダムから水路トンネルを通ってきた水を下部の二軒小屋発電所へと通ずる圧力送水管に送るための調整棟
10:30
11:48 1470 二軒小屋 昼食
12:40 KAZU、I女史椹島先行バス乗車
13:30 e−sin、M氏椹島行バス乗車
14:00 1120 椹島 畑薙ダム行きバス乗車
14:55 956 畑薙ダム崩落手前 バス下車
15:02 931 臨時駐車場 車まで帰還
15:10 805 赤石温泉白樺荘 入浴、カレーライスで夕食
16:05
18:50 富士楽座 夜食、買い物
19:30
10:10 下田ベイステ 帰着

   最終日

 さて、いよいよラスト最終日である。夕べはある出来事で2時間ほどしか寝ていない。帰りの運転が心配される。まあこれも自分が未熟ものだからということで総括することとしよう(爆)。(次回はこの対策と訓練が必要だな)
 本日は黄線帰路ルート、全般的には下り勾配となるので楽そうに思えるのだが、いえいえまだまだ登りもあるのですよん。そして本当に下りがきつくなったときこそが、疲れた体には最も堪えるのです。
 二軒小屋からのバス出発時刻が13;30。何としても出発に間に合わせねばなりません。本日行程がおよそ9時間かかることが予想されていたため、余裕を持つ意味で(焦ると無理をして怪我をし易いですからね)、できうる限り早めの出発時間としたかったが、小屋の朝食弁当の最早支給時間が3時半。で、この時間に設定された。
 昨夕、山談義をしていたe-sein氏が浪速の富田林市の某氏と懇意となり、我々と蝙蝠岳まで同行を伴にしたいという申し出があったたので(この方もコテコテの関西弁でございました)、このお方と同伴することに相成った。

 弁当支給が5分遅れたため3時35分、真っ暗の中ヘッドライト着用で、標高差300mの塩見岳目指して小屋を出発。気温は、5°くらいか?ワタシ、このくらいの気温だとすこぶる快調なんですぅ。ここからは、二軒小屋へ向けての時間との闘いが開始されたのでした。


   カシミールマップ


  標高図


   画像1

塩見岳西峰

東峰を望む                   東峰山頂

Mt fujiとご来光

蝙蝠尾根から塩見岳           千塩尾根分岐

   塩見岳

 ハイマツ帯を過ぎ、岩礫を登攀すること、おおよそ50分で我々一行は西峰頂上へ到達した。
 そこで目撃した景色とは!!! 目の当たりにしたこの光景をいったいどう表現したらいいのか! いや、そのときは実際に「スゲー」って叫んじゃってたかも?
 既に使い古された言い回しで恐縮だが、俗界とはおよそかけ離れた、360°すべてが空と山と雲海がおりなす微光のコントラストによって、至極単純ではあるが目の覚めるような鮮烈なセピアカラーで色彩された一大パノラマがそこに存在していた!。
 雲海から日の出を迎えようと薄明るくなった方角、やや右手には、言わずと知れた霊峰富士。我々が立つ峰を挟んで背側には日本第二の標高をもつ南アルプスの雄「北岳」。その右手ずうっと遠くには、北アルプス穂高、槍ヶ岳の鉾先までクッキリ見渡せる。
 そして忘れてはならない、今回の山行で霧雨と強風に弄ばれながら辿ってきた荒川三山(悪沢)も、その悪辣で巨大な山容を我々の眼前に、小憎らしいくらいに見せつけていた。
 日本の名だたる秀峰が一望できるこの場所に、偶然の悪戯とも言えるこのタイミングで立てたことの神への感謝と感動で、思わず涙が頬を伝わりかけたのは、このワタシだけだったのだろうか?←やたら大袈裟な表現だな 今風だとウザイか?
 あとの祭りだが、実は我々一行はここで重大なミスを犯していた。そう上記ご来光画像は、東峰で記念撮影をした後、蝙蝠岳へ向けて数分下った際に撮影したものである。つまり頂上でご来光を迎えた訳ではなかったのだ。あのとき先を急ぐばかりに同行者の誰一人としてこのことに気付かなかったことが、いささか心残りではある。(これで、近い将来360°展望できる別の場所でじっくり腰を据えてご来光を仰ぐ目標ができたとも言えるが)

 そして、霊峰富士のさらに右手には、これから我々を誘おうとする蝙蝠岳と、左手からクロスするように千塩尾根から南北に袖を分けた、あたかもコウモリの翼を連想させるがごとく秀麗な曲線美を描いた、その緩やかなる稜線がくっきり見えていた。


   画像2

蝙蝠尾根                    蝙蝠岳と悪沢岳

蝙蝠岳                      徳衛門岳


   蝙蝠岳・徳衛門岳

 塩見岳から見た蝙蝠岳へ続く稜線は、緩やかだった。そして誰もが容易くやり過ごせるように見えた。
 が、実際は疲れた身体に堪える稜線がそこにあった。カシミールデータによると、この間(塩見岳から蝙蝠岳)の累積標高(+)がおよそ320m累積標高(−)が500m。北俣岳から蝙蝠岳間の時間を計測しても、きっちり標準コースタイムどおりの1.5hかかっている。一見易しそうに見えてもなかなか侮れない尾根筋と言える。(教訓 山も女性も見た目で判断してはならないってこと 笑)
 森林限界を超えた蝙蝠岳からの下りは、難しい。特に蝙蝠直下は、ハイマツが行く手を阻み、否応なしにこれを横断しなければならない。(ガスっているとあらぬ方向へ行く可能性大)
 降下するにしたがって徐々に気温が上昇してくる。樹林地帯に入り、アップダウンを繰り返しながらようやく徳衛門岳に到着した。帰路マイクロ運転手に伺った話だと、この付近によく熊が出没するらしい。(それを先に言ってよねぇ)

   アクシデント?

 男性をも凌駕する、その計り知れないポテンシャルを秘めていると誰もが認めるI女史に、蝙蝠岳を降下しはじめた頃から左膝痛が発生したようだ。山行による身体への苦痛は、彼女にとって初めての経験だったらしい。
 二軒小屋まではさらに、沿面距離が8km、標高差にして1100mほど降下しなくてはならない。
 ここからのエスケープルートはない。
 がんばれI女史!


   画像3

二軒小屋帰着                   赤石ダム湖


   大団円

 途中経過は敢えて割愛する。道中どのようなドラマが展開したかは「デジカメムービー」をご覧いただき、皆様(えっ 第三者に見せるのか?)の想像にお任せする。

 兎に角も、塩見岳を下った4名は12:00少し前、無事二軒小屋までの帰還を果たした。
 しかも所用時間は、標準タイムを大幅に短縮した8時間1分であった。

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