南アルプス最南端の3000m峰
聖岳と赤石岳
天候に恵まれた4日間の雲上の夏休み

〜〜〜〜〜探足会98年夏山山行記録〜〜〜〜〜


岩場にひっそりとイワギキョウ
(小赤石稜線で)
(7日)静岡駅で全員合流。
さっそく車2台で畑薙第1ダムを目指す。かなり距離がある。
途中ポツリポツリと自販機はあるが、ほとんど真っ暗な道である。

井川湖には立派なトイレがある。
少し休憩。



華やかさのあるシナノオトギリソウ
(赤石岳富士見平付近)

畑薙第一ダムにはすでに7〜80台(あるいはもっと)の車が駐車している。
堤防の中ごろに空きを見つけて駐車。

車外でシュラフにくるまって仮眠。
ひっきりなしに来る車の音が少しやかましかったのであまり深く眠れなかった。



割合にぎやかトウヤクリンドウ
(小赤石稜線)

(8日)7時起床。
さわら島へのバスは9時の予定だったが、シーズン中は8時過ぎから次々と送り出しているようだ。
8時30分バス乗車。

途中、聖岳登山口で5〜6人降りる。
聖口へ下山してきた人が、さわら島まで乗せてくれるよう頼んでいたが、断られていた。
聞くと、以前は乗せた事もあるそうだが、一杯で乗せられない事の方が多く、乗れると思って待っていた登山者から会社へ苦情が来たので、いっさい途中では乗せない事としたそうだ。



比較的あちこちで見られるイブキトラノオ(赤石岳富士見平付近)

山に来て、バスが通っていて、乗せてもらえるのが当たり前と思って、乗れないからと言って苦情をぶつけるのは、確かに間違っている。

人の事ばかりは言えないが、山が余りにも便利になりすぎて、それが当然と思う人が増えてしまったんだろうか。
もともとこのバスは路線営業のバスではなく、送迎用のバスなのだ。
山で頼れるのは自分の2本の足だけなのに。

でも、「空席のある場合のみ乗車可」「ここからは乗れない場合もあります」などの看板を立てる事で、登山者の理解を求められないものかと、ふっと思う。



紫で気品のあるトリカブト(百間洞)

さわら島は涼しくて気持ちのいい所だ。
少し休憩して出発。

さっそくの急登。南アルプスの南部、さすがに気温は高い。
樹林帯の登りと言う事もあって、全身から汗が吹き出す。

地図では3時間ほど登ったところで、林道を横切るはずであったが、良く分からない。
この林道は、廃道になっているようだ。
西方に聖岳が見える。あそこまでいくのか。

やっと赤石小屋着。結構きれいな小屋だ。
小屋前テラスでの宴会。
中電に勤めている人と盛り上がった。
やばい、ウイスキー3本持って来たが、後半足りなくなりそう。



にぎやかなウサギギク(百間洞)

(9日)今日の日程は短い事もあって、ゆっくり出発。
すこし雲があるが、天気も快晴。
富士見平はさすがに展望がよい。早くも大休止。

赤石コルから小赤石を往復する。
小が付いていても小赤石は3000mを超える立派な山だ。



9600万円の豪邸赤石避難小屋と管理人米本さんを囲んで

赤石岳山頂着。
大学山岳部のパーティーが2組ほどいて元気だ。

赤石避難小屋前で昼食。避難小屋とは言ってもシーズン中は管理人が常駐している。
とても面白い管理人で、「小屋の建設費は9600万円」「90日間一人で小屋を管理している」「登山者の質も変わって、水を持ってこない者や、浴衣をくれと言った者も実際いる」などと、いろいろな話をしてくれた。

ここのトイレは1回100円で、し尿をヘリコプターで麓まで降ろすのだそうだ。



明るい黄色のミヤマキオン(聖平付近)

昼食を終えて出発。
百間平は名前のとおり、広い、すごく広い。
南アルプスのど真ん中にこんな広い所があるとは。でも何にもない。

さらにどんどん下る。
どこまで下るのかと思うほど下る。
3120mの赤石岳の頂上から、森林限界を過ぎて樹林帯の中、2500m付近まで下る。



富士山遠望(大沢岳頂上から)

百間洞山の家は、沢の側にあって、ここもきれいな小屋だ。
ここのお勧めは、夕食にとんかつが出る事。
冷凍なんかでなく、ここで揚げているそうで実際うまい。
持参したウイスキーはほとんど底を付いてきた。

(10日)今日の行程は少々長い。
早々と小屋を出る。

大沢岳、中盛丸山、小兎岳、兎岳と2800mクラスの山を4つも越えていく事になる。
しかも、その度に森林限界近くまで下っては登る事になる。
どうしてまき道を作ってくれないのか、と恨めしく思う。

でも、頂上から見る富士山はきれいだ。



聖岳遠望(大沢岳頂上から)

やっとの事で4つのピークを越える。
そして再び森林限界まで下る。

何という事だ、百間洞の標高と同じくらいではないか。
さすがに南アルプスは山が大きい。

吹き出る汗を拭いながら、聖の登りに掛かる。
聖はまたひときわ大きい。

やっとの事で頂上。
さっそく頂上でコーヒーをつくる。旨い。

ここまで来ればあとは下りと言う安堵感で、大々休止。
味噌汁もつくったがこれも旨かった。



ぽつりぽつりと咲いていたハクサンフウロ
(聖平付近)

みんなを待たせて、ひとりで奥聖岳へ。
赤石岳が目前に見える。
写真を撮ってすぐ引き返す。往復約30分。

聖から下山開始。
少し下ったところに水場がある。
水量は少ないが旨い。

ザクザクの急坂を下る。
小聖岳で小休止。

振り返ると、真っ青な空に聖がどっかりと座っている。
今日は最高の天気だ。

さらにどんどん下ると、トリカブトの群生地が見えてきた。
ウサギギク、アキノキリンソウなどとともに、すごい数のトリカブトが咲き誇っている。
何度かカメラに納める。
薊畑への分岐付近でも、すごい量の花が咲いている。
時間があれば、じっくり写真を撮るのだが、先を急ぐ。



小聖から聖を振り返る、真っ青な空

聖平の小屋も結構新しいが、食事を出すようにしたのが97年から、そして今年98年からやっとシュラフを用意したそうだ。
シュラフを持参していたので、宿泊料は1000円安かった。

夕食はカレーライス。あまり旨くはなかった。
食料を持っていたので自炊した方が良かったかもしれない。

ビールジュースは置いてあったが、夕方6時までだった。
持参したウイスキーはすでに空。 早々とシュラフに入る。



笊ガ岳方面のモルゲンロート(聖平小屋から)

(11日)朝、窓から、笊ガ岳方面のモルゲンロートがきれいに見える。

今日も早く出ようかと思ったが、朝食は登り組優先?。で5時朝食、

5時30分出発。
アップダウンを繰り返しながら、左に聖沢を見て、ひたすら下る。

樹林帯で日が当たらないとは言っても風も通らない。
またもや汗がどっと吹き出す。

聖沢吊り橋、頑丈にできているが、渡してある板が少し朽ちている。 踏み抜かないように慎重に渡る。



聖平小屋で最後の記念撮影

やっとの事で聖岳登山口、林道へ出た。
さわら島10時30分のバスに間に合いそうだ。

休む間もなく林道歩き。
必死に歩いて約30分でさわら島着。

さっそく生ビール、600円。
グビグビと一気に飲み干した。
満足感一杯、すごく幸せな気分。

バスで畑薙第1ダムまでもどり、車で赤石温泉白樺荘へ。ダムから車で6〜7分の所。

ここは市営温泉で入浴料が無料というのはうれしい。
良質の温泉で、山での汚れをすべて落として、再び幸せな気分にしたる。

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