ブロッケンとエーデルワイスの山行

中央アルプス越百山(2613m)

COSMOS(宇宙)を連想する、いかにもロマンチック な名前、越百(コスモ)へ行ってきました。以下その報告です。


神秘的なブロッケンの妖怪 (越百山山頂)
3週間休みなしに働いたから、どこかへ行って骨休めしたい。 という友人の誘いに乗って、中央アルプスへ行くことにした。

越百小屋は絶対空いている。穴場だ。というその友人の一言で行く先を決定。 越百小屋は5年ほど前に行ったことがあり、たいへん気さくな小屋の主人 (伊藤さん)であったのを覚えている。 友人はしょっちゅう行っている。

もう梅雨は明けるものと思って出発したが、天候はあまり思わしくない。 林道ゲートの近くの空き地には、すでに7〜8台の車が止まっている。 こんなに入山しているのかと少々不安になる。

越百小屋までは、高低差約1000m、時間にして3時間半ぐらい。 比較的登りやすい。下のコル、上のコルと順調に高度を稼ぐ。 地図には御岳、南駒ケ岳、仙涯嶺が見えるとあるが、上部は雲に覆われて あまり良く見えない。

日本のエーデルワイス駒薄雪草
(越百山からの縦走路)
ここにきて、メンバーの一人が遅れ気味になる。体調が思わしくないようだ。 ここで昼食。水場で水を汲んでかなり大休止。ここからあと1時間だが、 これからがちょっと急登になる。

やっと越百小屋についてびっくり。すごい人がいる。定員20名くらいの 小屋に、倍ぐらいいる。(後で聞いたところ、この日の泊まり客は、 47名だったそうだ)なにしろこの小屋は、伊藤さん一人で食事から、 すべて切り盛りしている小屋である。

どうするんだろうとおもっていたら、案の定今回に限っては、4名ほど 手伝いの女性があがってきていた。慣れない手つきで食事の支度をしている。 小屋の主人伊藤さんは「ワールーネ、ワールーネ(悪いね)」と 土岐、多治見弁で、込み合っていることをしきりに恐縮している。 このあたりに伊藤さんの人柄が良く出ている。 伊藤さんは岐阜県土岐市の人だ。

この小屋に泊まると、缶ビールが1本ずつサービスされる。部屋の隅で 邪魔にならないようにビールを開けて、無事登山を乾杯する。 やっぱり連休では、伊藤さんとゆっくり話す事も出来ない。

夕食はうなぎ丼だ。結構うまい。ビールと持ってきたウイスキーで 心地よくなって早々に寝床へ。深夜眼を覚ましたので外へ出たら、 星がすごく奇麗だった。

すごく良い天気になったがつかの間 だった
(背景は越百山)
星が奇麗に見えたので、天気は回復するかと思ったが、翌朝も天気は 思わしくない。あまり展望も利かない中で登り始める。

頂上で騒ぐ声が聞こえるので何かと思ったら、ブロッケンが出ている とのこと。慌てて駆け上がる。間に合った。結構くっきりしたブロッケンが 出ては消え、消えては出てくる。世の中の乱れを正すため、菩薩さまが 現れたのか。

しばらくするとガスが消え、ブロッケンが消えると展望が良くなってきた。 低めの雲海が出来ているが、天候はまずまずだ。稜線沿いに縦走を開始 するとまもなく、エーデルワイス(駒薄雪草)が咲いていた。 これもカメラに収める。

きつい上りの仙涯嶺をすぎて、さらに南駒ケ岳の登りの途中、高山植物の 群棲地があった。でも登りの最中で、カメラを出すのがおっくうで、あまり 写真は撮らなかった。後で考えるとちょっと残念なことをした。

南駒ヶ岳まで来ると、メンバーの中にいよいよ不調な者が出てきた。 当初の予定では木曽殿まで行って、明日下山することとしていたが、 南駒ケ岳から直接降りることとする。地図では点線で表示されている道を 下山する。最初岩場のところの道は、ちょっとわかりにくい。

昼になると一面のガス(南駒ケ岳)
風がほとんど無いので、どんどん下るうちに汗がドット吹き出してきた。 すごい急下降、足はガクガク、木曽殿山荘へ行く方が楽だったかなと 思ってきたが、すでにかなり下っている。

やっと林道出会い。沢の水でコーヒーを飲んで人心地つく。でもまだ これからゲートまでは1時間ぐらい歩かなければならない。

ゲートに着くころになると、本格的な雨。でも、ここからタクシーを呼ぶ 手段が無い。携帯電話を持ってきているが、ここからは使えない。

関西電力伊奈川ダムまでさらに歩く。ダムの管理事務所で電話を借りて タクシーを呼ぶ。電話代として30円請求される。でもありがたい。 かなり遅くなったがこれでやっと帰れる。


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